卵巣養生
 月経メカニズム
 《排卵のプロセス》
約28 日に1 個の割で,卵巣から卵子を放出する。排卵は,次のようなプロセスで起 こる。
卵巣内壁の卵胞は,脳下垂体からホルモンに刺激されて,卵 子とともに成熟しはじめる。成熟した卵胞は,卵胞ホルモン(エストロゲン)を大量に
分泌しながら,内壁の表面に移動していく。それらの卵胞のうち,最も早く成熟した 卵胞が,破裂して,卵子を外に出す。

 《月経周期》
 受精が起こらなかった場合は,受精卵のためのベッドは不要になる。すると,子宮 内膜は,はがれて血液といっしょに(受精しなかった卵子も)子宮の外へ排出される。
これを月経という。月経の期間は5 日間ほどで,失われる血液は,90ml ほどである。
 月経から次の月経までの期間を,月経周期という。月経周期は,平均28 日くらい だが,かなり個人差がある。

 

 

冷え性

《概要》
人間には,体たい腔こう内ないの温度をいつも一定に,37℃前後に保とうとする働きがある。こ の温度は,血液の量や流れによって保たれている。冬になって気温が低くなると,脳 や体腔内の温度を保つために,腕や足の血液を吸いあげて,脳や体腔内の血流をよく し,逆に気温が高くなる夏には,血液の多くは皮膚の表面を流れ,余分な熱を汗とし て放ほう散さんする。 つまり暑さ寒さに応じて,体の中の血けつ液えき分ぶん布ぷは絶えず変化しており,この調ちょう節せつ機き能のう が狂うと部分的に血液量が不足したり,反対に多すぎたりして,さまざまな症状を引
き起こす。これを「冷え」とか「ほてり」という。 中医学では陽気がめぐらない,あるいは不足することで「冷え」を生じると考え, とくに腎じん陽よう虚きょが原因で「冷え」を引き起こす場合が多い。



《臨床所見》

(1)陽虚・腎陽虚による冷性

(2)血虚受寒による冷え性

(3)瘀血よる冷え性

(4)水湿による冷え性

《治 療》
【治療原則】
温経通絡。
陽虚:温経。
血虚受寒:養血補血
瘀血:活血化瘀  水湿停滞:去湿。

【取穴部位】
肺兪,厥陰兪,心兪穴,督兪,膈兪,腎兪,志室,命門,
秩辺,膻中,天枢など。

 

 

更年期症状
 

 

 

不妊症
 

 

月経痛

 

《概 要》
月経時に下腹部痛,腰痛などの疼痛を主体とする症状は,中医学では「痛経」,「経 行腹痛」などと称する。
原因としては,精神不安定,自律神経 (内分泌ホルモン)失調,子宮の痙攣などと 関連する。
《診 断》
疼痛発生の時間,疼痛の性質によって寒熱虚実を弁別する。
(1)気滞血瘀

(2)寒湿凝滞

(3)気血虚弱

《治 療》
1.治療原則
「通調気血」
行気活血

温経化瘀

2.【取穴】
気海,関元,腎兪、八髎  章門、  期門


3.弁証加減
(1)気滞血瘀
①章門,期門,肝兪,膈兪。

(2)寒湿凝滞
腎兪,命門


(3)気血虚弱
中脘

 

 

月経不順

 《概 要》

 月経不順とは月経の周期,月経の量,月経の色などに異常が見られるものを総称して月経不順という。臨床では月経周期が早まるものを月経先期,遅れるものを月経後期,早くなったり,遅くなったりするものを月経先後不定期と呼んで区別している。
現代医学では内分泌失調,自律神経失調,精神刺激,寒冷疲労,ある全身性疾病などは本病を引き起こすことがあると考えている。

 《診 断》

1.月経先期

(1)気 虚

(2)血 熱
実熱型,肝熱型と虚熱型に分けられる 。

2.月経後期

(1)血 寒
実寒型と虚寒型に分けられる。

(2)血虚型
(3)気滞型

3.月経先後不定期
 
(1)肝 鬱

(2)腎 虚

 《治 療》

1.治療原則
病因に基づいて治療する上で調経を主とする。血熱の者には清熱涼血を,気血虚弱の者には補気養血を,寒凝の者には温経散寒を,気滞の者には疏肝理気を加える。

(1)血熱型
大椎、曲池,神門、湧泉
(2)気虚型
関元
(3)寒凝型
肩井
(4)気滞型
膻中、章門,期門

(5)腎虚型
腰眼,命門,環跳、湧泉

 

 

子宮内膜症
 《子宮内膜の役割》
 排出された卵子は,すぐに卵管に吸い込まれ,卵管内壁に生えている繊毛の動きに よって,ゆっくり子宮の方に進む。このとき,精子が卵子と合体すれば,受精が起こる。 受精した卵子は,卵管をさらに進んで子宮に入り,分裂・発育を 始めるが,受精しなかった場合は,そのまま子宮に進み,排出されてしまう。
 子宮の内面は,子宮内膜という粘膜でおおわれており,子宮内膜はホルモンの刺激 を受けて,血管や分泌腺を発達させる。こうして厚みを増した子宮う内膜は,受精卵が 着床して成長するためのベッドの役割を果たす。

 

 

子宮筋腫
 

 

 

子宮下垂
 《概 要》
子宮下垂は婦人の子宮が正常な位置から離れて,腟に沿って下降,あるいは一部分 が膣口の外に脱出,あるいは全部が膣口の外に脱出する病変である。子し宮腟部が左右 の坐骨棘を結ぶ線より下降しているが,膣口までに達していない場合を子宮下垂と呼 ぶ。


《臨床所見》
1.気 虚

2.腎 虚


【治 則】
補気昇提,固摂胞宮
気虚:健脾益気
腎虚:温養補腎
【取穴】
中脘,気海,関元、 八髎、命門


【弁証加減】

(1)気虚:百会足の三里
(2)腎虚:三陰交、太渓、腎兪,命門

 

 

子宮脱
 《概 要》
 子し宮きゅう下か垂すいは婦人の子宮が正常な位置から離れて,腟ちつに沿って下か降こう,あるいは一部分 が膣口の外そとに脱出,あるいは全部が膣口の外に脱出する病変である。

 

 

産後身痛
 《概 要》
産褥期に現われ,四肢関節のだるさ,疼痛,痺しびれ,重さといった症状を呈するも のを,「産後身痛」と呼ぶ。
《臨床所見》
1.血 虚

2.血 瘀
3.風 寒

4.腎 虚

【治 則】
調理気血,舒筋止痛。

【取穴部位】
印堂
(奇穴),太陽

中脘、気海、関元など