肩こり
 肩こりは肩部周辺が重苦しく,だるくて,こわばったような不快な感じを指さす。
またさまざまな痛みや圧痛を伴ともない,首を回転させると張はったような痛みを感じること もある。原因ははっきりしないが,背中の冷え,過労、自律神経失調などと 関係がある。中医学では痺証に属する。

《臨床所見》
1.風寒によるもの

2.気血両虚

3.気滞血瘀

4.肝陽亢進


《治 療》

疏経,通経

 

腰痛(ぎっくり腰)

急性腰痛症とは前かがみで物を持ち上げた時や軽微な外傷(打 撲や捻挫 など),スポー ツ傷害などの際に腰痛を生じた状態を言う。いわゆる「ぎっくり腰ごし」である。


1.臨床症状
損傷をうけた後,すぐに片側または両側に耐え難い疼痛が現れるものもあるが,半 日後,あるいは一晩してから現れることもある。腰椎の運動は制限され,寝返りがで きないこともある。運動や深呼吸,咳嗽,くしゃみをすると疼痛が激しくなる。
2.検 査
(1)局部の圧痛:多くは損傷を受けた組織の部位に明らかな圧痛点がある。
(2)筋肉の痙攣:ほとんどの場合,片側または両側腰部筋肉の緊張,痙攣がみられる。
(3)脊柱の側弯:疼痛により非対称性の筋肉痙攣を起こし,脊柱本来の弯曲が変形す ることがある。多くの場合,患側に脊柱がやや側弯する。
(4)下肢伸展挙上テスト陽性
(5)骨盤分離試験陽性
(6)重症の場合には腰仙骨部のX 線検査により,腰椎各部の骨折,脱臼,骨質増殖, 椎間板ヘルニア,腫瘍,結核などの疾病がみられる。
《治 療》

舒筋活血,消腫止痛,理筋整復。

《注》
鍼灸治療はぎっくり腰に対する治療効果が顕著である。

般的には1 ~ 2 回で効 果が現れ,しかもその多くは再発しない。しかし,治療後すぐに重い物を背負っ たり,腰部の屈伸運動をすることはできない。

 

五十肩(肩関節周囲炎)
 《概 要》
 肩関節 の痛みで発症し,次第に痛みが増強して,やがて関節拘縮つまり骨以外の組織が固まっ て関節の動きが悪くなる状態を生じ,肩の機能障害をもたらす疾患である。40 ~ 60 歳代によく認められることから,「五十肩」と称される。 

 中医学では「痺証」の範囲であり,「漏肩風」,「肩痺」と称される。
 《臨床所見》
 初期は肩の疼とう痛つうがあって動かしづらく,関節に硬こう直ちょく感かんがあり,局部が冷える。疼痛 は徐々に頸項部ぶおよび上腕部へと放散する。疼痛は昼間軽減して夜になると重くなり, 痛みのために眠りから覚めることもある。しかし,朝になって関節を少し運動させる と,疼痛が軽減する。 (結 帯・結髪障害)。

 《治ち 療りょう》

活血止痛。解離,滑利関節。

 《注》
1.肩関節周囲炎に対し,鍼灸療法は治療効果・予後ともによく,治癒した後の再発が少ない。
ストレッチを組み合わせれば効果はさらに顕著になる。ただし,糖尿病、結核 の受者には治療効果がよくない。
2.肩部への風寒を避けるようにする。また過度の疲労を避ける。