ゴルフ肘
 《概 要》
 上腕骨内側上顆炎とは前腕の屈筋群 (手首・指を曲 げる筋肉)と回内筋群 (手首を内う ちひねりする筋肉)の使い 過ぎによって,肘の内側上顆部で腱や滑膜が炎症を 起こす疾患である。別名「ゴ ルフ肘」や「野球肘 (内側型)」とも呼ばれる。
 上腕骨内側上顆炎は上腕骨外側上顆炎に比べ発生 頻度は少ない。
 
 《治 療》
上腕骨外側上顆炎に同じ,ただし操作部位は上腕骨内側上顆部ぶである。

 

テニス肘
 《概 要》
 上腕骨外側上顆炎とは前腕の伸筋群すなわち手首,指を伸ばす筋肉と,回外筋群、手首を外ひねりする筋肉の使い過ぎによって,外側上顆部で伸筋腱 や骨膜が炎症を起こす疾患である。
 
バックハンドでのストレスが繰り返し加わると筋肉 の付着部に炎症や断裂を生じ,痛みを生じる。バッ クハンドを多用するテニスの選手はこのような動作 をよく行うので,本病を起しやすく,テニス肘ひじの別 名がある。手作業を強いられる職種の者,肘や手首 を酷こく使しする主婦にも多く認められる。
 
  【治 則】
 舒筋通絡,理筋整復,活血化瘀
【取穴】
 曲池,肘髎、手三里、合谷

 

野球肘
 

 

腸脛靱帯損傷

腸脛靭帯は大腿外側にあり,直接的な打撲などを受けることが多い。外傷によって, 腸脛靭帯の部分線維が断裂し,局部に炎症滲出,皮下出血などの病理変化を引き起こ す。
腸脛靭帯炎はランニングによって起こる疾患の1 つで,長距離ランナーに多発する ことから「ランナー膝」とも呼ばれている。マラソンランナーに多いスポーツ障害の ひとつで,自転車競技,スキーヤーなどもよく見られる。膝にO脚を認める人や,走 行時に足の回内を強めて走る人,腸脛靭帯の緊張の強い人によく認められる。ランニ ング中に膝の屈伸を繰り返す事によって腸脛靭帯が大腿外側上顆部で擦こすれ,炎症を起 こして発生する。

《治 療》

舒筋通絡,活血化瘀。
【取穴】
居髎,環跳,風市,、陽陵泉、腸脛靭帯局部

 

半月板損傷
半月板は大腿骨と脛骨の間に存在し,大腿から受ける荷重を分散して衝撃を吸収す る作用と,膝関節の安定性や円滑な運動をもたらす役割を担になっている。
 また,半月板は線維軟骨とコラーゲンから形成され,周辺の関かん節せつ包ほうより血行を受け て,関節液から栄養を受けている。
 半月板損傷の原因は,若年者ではスポーツ外傷によって発生することが多い。高齢 者では半月板の変性を基盤として特に誘因なく発生する。
 《臨床所見》
 半月板断裂の者の多くは明らかな外傷歴がある。受傷時,膝部に断裂感があり,関 節痛,運動制限,歩行障害がある。
(1)関節腫脹
(2)関節嵌頓症状
(3)膝折現象
(4)関節弾撥音
(5)筋肉萎縮
 
【検 査】
(1)圧痛点
(2)膝関節回旋圧迫ぱくテスト(マックマレー・テスト)
(3)圧迫牽引試験(アプレーの圧迫・牽引テスト)
 
 《治 療》

 活血化瘀。

 

膝関節側副靭帯損傷
 《概 要》
 膝側副靭帯は関節の側方の動揺性 (横揺)を制動することにあり,内側 側副靭帯と外側側副靭帯が存在する。
スポーツ活動 中や交通事故による損傷が大半で,内 側側副靭帯の損傷が多くみられる。  膝関節が少し屈曲している状態で, 膝関節の安定性がよくないときに,突 然外反あるいは内反の外力が加わる と,内側あるいは外側副側靱帯の損傷 が発生する。

 《臨床所見》
(1)内側側副靭帯損傷
 内側側副靭帯損傷は,膝強い外反力が加わると膝の内側に張力が働いて発生する。
膝内側に限局性腫脹,膝関節の運動制限や歩行障害があ る。半月板の損傷を伴う場合には関節内の血腫が現われる。
(時間が経過した症例)では膝が「ガクガク,グラグラ」するという不安定感 を訴える。
(2)外側側副靭帯損傷
症状は内側側 副靭帯損傷とほぼ同様で,膝の痛みや腫れ,不安定感を訴え,運動制限や歩行障害を 認める。   


【治 則】
活血散瘀,消腫止痛。

 

 

腓腹筋損傷
腓腹筋損傷は走行中やスポーツ活動中,急激に腓腹筋が収縮した結果,筋膜や筋線 維いの一部が損傷して痛みや腫れを生じ,運動障害をもたらす疾患である。
 多くはスポーツなどで,運動前のストレッチなどの準備運動を しっかり行っていないことで,急激に筋肉が収縮するときに損傷を起こしやすい。

 《臨床所見》
急性損傷
 外傷歴があり,多くはアキレス腱と筋腱移行部の断裂傷である。損傷後,局部に腫 脹・疼痛があり,皮下出血が現れることがある。
慢性損傷
 多くは腓腹筋の起始点とアキレス腱の部位に発生する。局部に疼痛や筋肉の萎縮が 現れる。腫脹ははっきりしない。
 診察では損傷部に圧痛がみられる。
 《治 療》

 活血化瘀,消腫止痛。

 

足根管症候群
 《概 要》
  足根管症候群とは,何らかの原因で足根管の内圧が高くなり,足根管内に存在する 脛骨神経が圧迫されて,痛みやシビレを引き起こす疾患である。


 《臨床所見》
 初期には歩行,あるいは長時間立っていると,内果の後部に不快感が現われ,休む と改善する。
足趾や足底部に放散痛や圧痛があり,歩行や立位いによって疼痛は増強する。夜間に増 悪する。踵骨内側と足底の知覚障害,蟻が這はうような感じがある。
 検査では,Tinel 徴候陽性,内果後部,圧迫された脛骨神経を軽く叩たたくと, 足底や足先へ痛みが放散する。足を極度に背屈するとき症状が増悪する。足趾屈筋の 筋力が低下する。
 《治 療》

 舒筋活血。

 

アキレス腱損傷

主に腱周囲の組織,腱膜,腱周囲の滑液包が外傷および疲労によっ
て起こされた急性及び慢性の無菌性炎症を指す。アキレス腱炎,アキレス腱周囲炎、 アキレス腱滑液包炎,アキレス腱石灰化症などを含んでいる。

多くはアキレス腱が一瞬にして急激に引き伸ばされて発生する。例えば,スポーツ 活動で準備運動の不充分で急激にジャンプやターンや急速に走る際に起こる。階段を 踏ふみはずした場合のような日常生活においても起こる。30 ~ 40 歳の普段あまりスポー ツをやっていない人がスポーツを夢中にやっているうちに発生することが多い。急激 に引き伸ばされることにより,アキレス腱及びその周囲組織に充血,水腫などの炎症 が起こる。

慢性的なアキレス腱への刺激,慢性疲労や間違った靴選びによって発症することも ある。

《臨床所見》

レントゲン検査ではアキレス腱周囲に石灰化像が認められるので,アキレス腱石灰 化症と診断できる。


《治 療》
活血祛瘀,理筋通絡